中林歩さんの真空管ライブラリをLTspiceで使ってみましょう。有名な5極管、KT88を例にとってみましょう。まず、ライブラリを展開してその中にあるKT88.incを自分のLTspiceの指定のフォルダにコピーします。私の場合はlib/mylibとなります。
このファイルをエディタで覗いてみます。
.SUBCKTの後の記述を見ると、KT88は5極管ですが4極ビーム管のような記載になっていてピンアサインはプレート、第2グリッド、第1グリッド、カソードの順になっていることがわかります。また、このファイルはLTspice用ではないので、まず、^を**で置換して保存しておきます。
次にLTspiceを立ち上げます。まず、KT88.incを読み込みます。私の場合は".lib mylib/KT88.inc"です。そのうえでLTspiceで標準で用意されているPentrodeのシンボルを配置します。
しかし、このシンボルは5極、5ピンあるのでKT88.incのシンボルとしては使えません。そこでこのPentarodeシンボルを右クリックしてシンボルを呼び出します。そこで、5つあるピンのうち左の上にある第3グリッドのピンを消去します。そしてピンアサインもAnodeが1番、G2が2番、G1が3番、Cathodeを4番にかえます。これで、KT88.incのシンボルとして使えます。本物の5極管用にオリジナルのシンボルは残しておくべきなのでこれをPentrode2という名前(好きな名前でいいです)で保存します。こうしてできたシンボルをもう一度右クリックしてValueをKT88にすればこのシンボルがKT88.incにアサインされます。これを使ってG2に200VをかけたときのKT88の五極管としてのIp-Vp曲線を描いてみましょう。これはDCスイープを使えば簡単に書けます。以下がそのための回路とコマンドです。
これでランさせてプレートのところにカーソルを合わせて電流マークが出たところでクリックすれば目的の曲線が得られます。
データシートより少しIpが低く出ていますが、立派に曲線が書けています。実際は実機にて計測をしてパラメーターを少しいじれば(あるいは提供されているRを使ってincファイルを作れば)完璧でしょうが、とりあえずはこれで十分使えます。3極結合した場合や、バイアスが17Vの曲線とか、G2電圧が180Vの曲線なども簡単に書くことができてとても便利です。これを使って、EL34シングルアンプの回路を検討していきます。