研究室の音楽

仕事中は研究室で音楽を聴いています。

FX202A/FX-36A PROの改造

D級アンプの出力にあるZobel Filterの検討の時に使ったFX202A/FX-36A PROをついでですので改造しました。

未改造(左)と改造品(右)

このアンプの特徴はTDA7892PEを使用したシンプルなデジタルアンプで、回路を追ってみましたが、ほぼデータシートに記載されている例通りの配線です。DC-Jackにアダプターを挿すとスイッチの状態に限らずICには電圧がかかります。スイッチオンによってスタンバイとミュートが(スタンバイとミュート端子に3.3Vが供給されると)解除されることにより音が再生されるようになる仕組みです。電源はDC-Jackから直接バルクコンデンサの1800uFに行き、そこから左右に分かれて1uFおよびおそらく0.1uFのセラミックコンデンサ(デカップリングコンデンサ)を通ってICに供給されます。つまり、電源はほぼ裸でICに入っている感じです。この電源の揺らぎについては、TDA7892PEのデータシートを見てもSupply voltage rejection ratioは60dBとなっており、(D級アンプですが)直接出力に出るわけではなく、IC内でそれなりにきれいにされているようです。(ただ、後程もう少し安定化するかもしれません。実験ではしてみたいです。)今回は1uFのデカップリングのセラミックコンデンサをフィルムコンデンサに代えてみました。入力カップリングコンデンサはいつものBCコンポーネンツの250V 1uFのフィルムコンデンサがついています。これは悪くないのですが、最新のリビジョンでは指月の1uFが搭載されているようです。ここには250Vはいりませんので、いつものようにピンを立てて、WIMAのMKS2の1uFやほかのコンデンサと交換できるようにしました。WIMAは足が短いのでスズメッキ線で足を延長しています。また、前の機械の出力にカップリングがある場合は個々のコンデンサをスキップすることも可能でしょう。次に信号に直列に入る1kΩのチップ抵抗(R17, R20)を何時ものRT0603に変更しました。最後にLCフィルターを構成する0.22uF(+とー出力をブリッジしているもの)にもピンを立てて、交換できるようにしました。それとZobelの検討の時に交換したZobel Filterを構成するセラミックコンデンサ0.22uFを積層フィルムコンデンサに交換(以前の検討で交換済)しました。今回の改造はこれがすべてです。

流石にこれだけ変えると音も変わりま。キンキン感がなく、かなり落ち着いた感じの音になりました。LCフィルターのところはかなり変わり、ポリエステルのコンデンサにすると少し落ち着きすぎの感じになります。もともとのフィルムコンデンサが最もはっきりした感じで、手持ちのメタライズドポリエステル?フィルムコンデンサがその間の感じで、これを使用することにしました。カップリングコンデンサはWIMAの方が音の輪郭がよくたつような感じです。

これらの改造でかなりお行儀のいい音を出すアンプになりました。出力もFX-2020A CUSTOMよりもパワーがあるので、余裕があります。音質自体はFX-2020A CUSTOM(の改造品)の方がよい(好み)と思いますが、改造によりかなり、差を詰めたと思います。素直に普通のアンプです。