研究室の音楽

仕事中は研究室で音楽を聴いています。

6K4 project: AIYIMAのTUBE-A3を改造3

さて、前回の方針を達成するにはまず、プレート電圧を上げるのが手っ取り早く、かつおそらく必要不可欠となります。TUBE-A3の電源回路はTUBE-03J+のものとほぼ同じ回路構成ですからDC-DCコンバーターの回路定数をいじって変更できます。抵抗以外、特にコンデンサの外付け部品の詳細がわからないのですが、まずはFB抵抗の比を上げることで達成で試してみることにしました。手持ちのチップ抵抗の範囲で調整したのですが、結構難しくて安定して電圧が上がらずすぐに落ちてしまう定数も結構ありました。が、一応127Vで安定する抵抗比を見つけることができました。30分ほど空で運転してみても電圧は安定していたので次に進むこととし、まずはこの電圧で6K4をつないで試してみました。(127Vを入れてもオリジナルの回路なら真空管の許容を一応満たしています)すると、音が出るのですが、しばらくするとボボボボボボボボと低い周波数の雑音が入ってきます。この周波数でスピーカーのコーンが揺れているのが分かるくらいです。ここからが大変でした。

昇圧回路(DC-DCコンバータ)には帰還回路がありますから、オペアンプと同じように発振を起こします。ですので、帰還してくる場所、エラーアンプの出力のところのコンデンサ容量を増やして位相を調節してやればいいと考えました。チップコンデンサでしたので外してL容量を計り、調整を続けますが一向に良くなりません。スイッチを入れて数分は問題ないのですが、気が付けばボボボボボと言っています。チップコンデンサを外して別容量のを入れなおして、電圧をチェックして(ダメな時もありました。はんだ付けの問題かもしれません。)真空管を入れて、テストしてしばらくするとボボボボボでダメというのを繰り返して、基板のパターンも壊れ初め、あれこれ3日ほどああでもないこうでもないとしていました。最後には周囲のコンデンサに容量の大きめのフィルムコンデンサを並列に入れたりしましたがダメでした。

あまり意味ありませんでした。基板も壊れてきてます


なぜなんだろうと思いましたが、今回は失敗で終わるのかと落胆して、一度考えたとき一つ気づいたのはいくら回路の定数を変えても、ボボボボボの周波数は変わらないということでした。これって、発振だったらおかしい、また、ボボボボボみたいな低周波でこうも再現良く出てくるのはそもそもおかしいと思いました。また、不思議なことにオシロで確認することができなかったのです。そのためにいちいちシステムに入れて音出ししてはダメという感じでとても時間を食いました。おかしい、でもこの周波数どう見ても電源の周波数ではないの?と思った時に、はたと気づきました。システムの電源はトランスからの安定化電源、オシロで調べるときは安定化電源装置かACアダプター。トランスか!そうでした。システムに入れるときもACアダプターから電源を取ると見事に症状が消えました。トランスが鳴いていたようなのです。拍子抜けしましたが、その後、ACアダプターでなくとも別系統から電源を取ると症状は出ませんでした。なんでトランスが鳴いたのかまではわかりませんでしたが、膨大な時間をかけてようやく電源の問題は解決しました。