研究室の音楽

仕事中は研究室で音楽を聴いています。

NFJ TUBE-00Jの回路解析、修理、改造6。改造① 6K4、6J1について

いよいよ改造ですがどんなものを目指すのか、簡単に決めておきましょう。

やはり、ただの交換だけではつまらないですし、オペアンプなどは正確なモデルが手に入ったとしても、良くなったとか悪くなったとか主観的な評価、感想になると思うのです。個人で楽しむのでそれでいいのですが、他人様が見るものでそれだけというのはどうかなと思うのです。

  • やみくもにいい部品を使ったり、全部のコンデンサーの容量をあげたりみたいなやみくもな改造はしたくない。
    これもよく見る改造ですけど、なんか詰まんないですよね。お金がないもののひがみなんでしょうけど、全部シルミックにしましたとか、どうかなって思うんです。

せっかくお金かけて変えるんだから、自分の頭で納得して変えたいなって思うんです。私は電気工学は素人ですけど、今はネットでいろいろ勉強できますしね。エキスパートの方、間違いがありましたら教えていただきたいです。

 

さて、まず初めですが、真空管の交換から。ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、このアンプ、設計段階で使用していたのは上位機種であるUnlimitedやTUBE-01Jに使われている6J1でした。しかし、現在、6J1の価格が高くなったのでこのアンプに付属しているものは6K4になっています。NFJとしてもこの変更は本意というわけではないようで、公式ブログにも“6J1が入手難ですのでTUBE-00Jでは、標準で6K4を採用しています。設計自体は6J1ベースで行われておりますが、6K4でも問題ないように調整されています。本来の実力を味わっていただくには6J1(別売)をお勧め致します。“とはっきり書いてあります。では、ほんとにどこがどう違うの?6J1にした方がいいのでしょうか?単に聴いた感想ではなくて考えてみましょう。まず、ネットで6K4のデータシートを取ってきます。持っているのは中国製だから中国語のもの。

6K4データシートより


まず、注目すべきなのはプレート電圧(日本人の私からは変な漢字ですが)が250Vであるということ。6J1は120Vです(最大電圧はそれぞれ300Vと200V)。つまり、6K4は6J1より高電圧をかけて使用するように設計されています。回路の解析のところでお話ししたように、このアンプのB電源は100Vです。これだけでどちらがあっているのかはおのずから明らかと思いますが、ロードラインも見てみましょう。6K4のデータシートには3極接続でのプレート(Ep-Ip)特性が載っています。

6K4でのロードライン

一見して窮屈ですが、バイアスが-1.0Vでグリッド電圧が±0.5V動くとすれば(赤線)醜いですが図からは大体47V-58V、つまり10V強くらい動くことになるでしょうか。6J1の時は18Vくらい動いたと思いますから、ギリギリ使えるかなといった印象です。TUBE-00Jのヒーター電圧は低めですし、あまりいい感じがしません。特にバイアスが+に触れた方がやや線の間隔があいており、これが歪とならないかは少し気になります。バイアスを-2Vくらいに深くして、前段の利得をあげてグリッド電圧の動きを大きくしたらいいのかな?エキスパートの方ご教授いただけると幸いです。(追記、6K4はリモートカットオフ管だそうです。そうするとバイアスを深くすると歪みが強くなるかもしれませんね。)こういう風にみるとNFJさんが公式ブログで言っているような”6K4はまったりとした音なので、ある意味懐かしい音ですし、TUBE-01Jをお持ちでしたら6J1との聴き比べも、驚くほど個性が違うので面白いと思いますよ。”とおっしゃっているのも納得がいきませんか?実際聞いた感じも6K4はどんくさいです。参考までにTUBE-01Jのプレート電圧はさらに低いですので6K4にはさらに不利です。上記コメントの”TUBE-01Jをお持ちでしたら6J1との聴き比べも”というのは’6K4をつけたTUBE-00J’と’TUBE-0についている6J1に乗せ換えたTUBE-00J'との聴き比べという意味と思います。ややこしいですね。というわけで標準の6K4を6J1に置き換えるのは十分意味があると思います。次回は5654Wについてみてみましょうか。