研究室の音楽

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NFJ TUBE-00Jの回路解析、修理、改造。7.改造② 真空管5654W

さて、前回は付属の真空管6K4より6J1の方がよいのではないかというお話でした。

本日は同様に真空管を変えるお話し。5654Wについてです。手に入れやすく、多くの人がこれに変えて楽しまれていますね。

5654Wのデーターシートから見ていきましょう。

5654W(GE製)のデータシート抜粋

6J1と同様にプレート最大電圧が200Vで、普通は120-150Vで使ってねと書いてあります。ここでは載せませんが、極間の容量値(シュミレーションするときに必要です)など全く同じではないもののとても電気的には似た管であることは間違いなく、互換球と言われるところです。ロードラインを見てみると、バイアスが-1.2V、グリッド電圧が±0.5V動くとして、57V-71Vプレート電圧が変化します。6J1の時とよく似ていますね。

ロードライン

実測でも動作点でプレート電圧65V程度(グリッド基準)、カソード電圧が1.21V(グリッド基準)なので大きな間違いはないでしょう。私は真空管アンプの設計はしたことがないですが、ふつうはもっとプレート電圧をあげ、動作点もあげて、バイアスを少し深くして電圧増幅率を稼ぐような使い方をするのではないでしょうか?(グラフでは直線が右上に移動する)これは6J1や特に6K4にもいえることで、このTUBE-01Jがそもそも電圧増幅(ゲイン)を稼ぐことを目的にしていない、アンプだけどアンプリファイしないという、とても面白いコンセプトだったということに基づくのでしょう。それで、これだけ音が変わるのですからとても面白い製品と思います。ということで5654Wはこのアンプにマッチしますので、我が家の改造したTUBE-00Jにはビンテージの5654が載っています。ビンテージといっても製造会社もわからない古いものというだけで十把一絡げ で手に入れたものですが、6J1よりも力強い音がします。そのほかソビエト製の6J1P(5654Wと6J1の中間の感じ)やあとで出てくるかもしれませんが各社の6AU6や6BA6を最近手に入れたのでそれで聞くことが多くなってきました。

オペアンプを変える方も多いと思いますが、前回述べた通り、この違いは主観的なものになるので今回最後にさらっと述べますね。気にしているのは電源電圧が10VであることとUnity Gain Stableをうたっているものというだけで、かなりのものが変えられます。TUBE-00J Unlimited が搭載していることもあってOPA627に変える方が多いと思います。非常にはっきりとした音になって、解像度が上がりとても良いと思います。でも私はUnlimitedも持っているので、通常使うのはAD827JNというバイポーラ入力のものです。OPA627に負けないと思うのですが、それほど聴こえすぎるという感じがなくて長い間でも疲れないのです。もうちょっと大人しめでOP275GやLME49720などにも手が伸びます。オペアンプってどんな機械でも大体同じものを入れたくなる気がします。まさに好みなのでしょうね。

さて、次回からははんだごてを使って部品を交換していきます。