さて、前回、TA2020のアナログ電源5Vを独立化したことで、低音域の安定も得られたと思うので、いつものようにカップリングコンデンサを電解コンデンサからフィルムに換装します。
このアンプにはNF型のトーンコントロールが搭載されていますが、基本的にこの解析は今回はしません。一般的にトーンコントロールを入れると音がくすみますが、このアンプも同様です。一応回路を追っていますが、チップコンデンサーなどは定数が分からず、シミュレーションもしにくいという事情もあります。
さて、TA2020-20の前の初段はオペアンプによる増幅ですが図に示すように20kΩの可変抵抗を入力抵抗と帰還抵抗に振り分けています。
つまりこれにより反転増幅回路の帰還量、ひいては増幅率を変えることでボリュームとしているわけです。この場合、オペアンプへの入力インピーダンスが変化して、低音の周波数特性がボリュームの位置によってかわってきます。これをシミュレーションしたものを見ていただくとボリュームが大きい方が平穏での下がりが早いことがお分かりいただけると思います
一方でこのような廉価なアンプでは使っている可変抵抗の質は望むべくもなく、通常の分圧によるボリュームコントロールでは信号の可変抵抗を通過する分をなるべく少なくするため、ボリュームは最大に固定する方がいいとよく言われます。しかし、上記の回路の場合、可変抵抗は入力抵抗もしくは帰還抵抗のどちらかですべて使われます。どちらの割合がいいのかはゲインが変わってきてしまうので私の耳では全くわかりませんでした。いずれにしろ、ボリュームを大きくした方が可変抵抗による質の低下が起きないとは一概に言えないように思えます。
実際の使用に関してはこのアンプは20W と出力は大きくありませんから、私の部屋でうるさくして聞いてもいい時(≒いい音質で聴きたいとき)はボリュームはあまり絞っていないこと。また、2.1チャンネル構成があるので低音についてはこのアンプを通らずサブウーファーにて聴けることを考えてカップリングコンデンサーの構成を考えていきたいと思います。