研究室の音楽

仕事中は研究室で音楽を聴いています。

FX-98Eの修理・改造2.修理②

さて、膨大な努力の末、振出しに戻ったFX-98Eの修理なのですが、いったいどこが悪いのかわかりません。いや、16Vを出しているのは間違いなくTDA7498EなのでICが悪いわけですが。新しく買えたにも関わらず壊した?静電気に弱いのだろうかなどと考えつつ、まずはICのすべての足の電圧を調べてみることにしました。まず、疑ったのはMUTEとSTBY、20と21番端子ですがどちらも3V強と問題ありませんでした。ICはそれらのモードではありません。続けてすべての足の電圧を一つ一つしらべていきました。まずはすべての出力がやはり16Vでおかしいのですが、他に入力側、カップリングコンデンサーにつながっているところの電圧がすべて0.5Vでした。0.5V? 低すぎないか?普通、オーディオ信号は最大で大体±1.0Vほど触れると思うので、ここのバイアスが0.5Vだとすぐに入力がオーバーしてマイナス側がクリップしてしまいます。ここはせめて1.5Vあるいは2Vはではないの?ということで一つ前進。カップリングコンデンサが漏れているのかとチェックしましたが、反対側の端子は0Vでコンデンサではないです。また、このバイアスはIC自体が作り出しているはずで、自分でトレースした回路図からも電源から外付けの部品で作られているものではないのでやはりICがおかしいという結論です。振出しに戻るですが、ここに取り合えずバイアス電圧をかけてみて、問題の16Vがどうなるかを見てみることにしました。29ピンSVRにつながっているチップコンデンサC31にスズメッキ線をたてて、ここに定電圧電源から電圧を供給するようにしました。0Vから徐々に電圧をかけていくと出力の16Vは徐々に低くなっていきます。つまり、このICは反転増幅を行っていて、0.5Vの入力ではバイアスよりかなり低い電圧入力になり、そのため出力電圧が上がって16Vに張り付いたと推測出ます。つまり、ICの増幅系は生きているのですが、バイアス電圧の生成系がおかしいという変な壊れ方をしているのかということになりました。それではほんとのバイアスはどれくらいだろう、出力8Vを出すバイアス電圧は何Vか調べるために定電圧電源の電圧を再調整してからつなごうとすると、何とつなぐ前から出力は8Vでした。慌てて入力系のバイアスを図ってみると2.0V、正常に動いているようです。キツネにつままれた感じですが±の端子間の電圧差(オフセット)もなく、怖いので信号発生期をつなげてオシロで確認してもきちっと動いているようなので、改めてスピーカーにつなげると問題なく、きれいに音を出しました。いったい何が起こったのか真実はわかりませんが、古いIC、新しいICともはんだ付けの熱か何かで保護機能が動いた場合、入力の電圧を落とすことで±の端子の電圧差をなくすようにしているとすると、保護機能が働いている間はすべての端子が16Vに張り付くことになります。この保護機構がオフセット電圧を外から改めて入れることで解除されたとすれば一応の説明がつくかなと(そのような記載はデータシートにはありません。多分)。本当にそうかどうかわかりませんがもしそうだとすると仮に±どちらかの出力系もダウンしたとすると16Vの直流電圧がもろにスピーカーに行くわけでちょっと怖いです。私はリレーを利用した保護回路を通してスピーカーにつないでいるのですが、リレーで多少音質が悪くなろうとも今後も必ず保護回路を使用しようと決意しました。このアンプはその後1日つけっぱなしですが問題なく動いております。こうなると次は改造ですね。